投稿日:2024年11月12日
地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる優待券など、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。
ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。
縁(ゆかり)のある地方自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などへの寄附金の使いみちを選ぶことで、自身の寄附金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。
ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄附だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄附金の使いみちを伺い、その想いを発信していきます。
今回取り上げるのは、「横手市増田まんが美術館」でマンガの原画の収蔵や未来の漫画家の育成支援などを行っている秋田県横手市です。
約48万枚の原画を収蔵する「横手市増田まんが美術館」
秋田県横手市では、「横手市増田まんが美術館」に関連した取り組みに、ふるさと納税の寄附金を充当しています。
「横手市増田まんが美術館は、マンガの原画の展示や収蔵、アーカイブ化などを行っている施設です。原画の収蔵数は約48万枚にのぼり、日本一の規模を誇ります。その中には、ご自身の全ての原稿を収蔵してくださった、大規模収蔵作家が12名いらっしゃいます」(横手市自治体担当者・以下同)
大規模収蔵作家には、横手市増田町出身で『釣りキチ三平』で知られる矢口高雄先生をはじめ、『ゴルゴ13』のさいとう・たかを先生、『東京タラレバ娘』や『海月姫』の東村アキコ先生、『20世紀少年』などの人気作を手掛けた浦沢直樹先生など、誰もが知るマンガの大家たちが名を連ねています。
まんが美術館が開館したのは、2005年に8市町村が合併して横手市となる以前のことです。
「合併前の増田町の時代に、町制施行100周年の記念事業のひとつとしてこの取り組みが始まりました。
きっかけは、増田町出身の矢口高雄先生です。当初は、“矢口高雄記念館”を作る構想がありましたが、先生は『記念館はいらない。その代わりに、漫画家の原画を展示して、子どもたちがそれを見てマンガを学び、漫画家を目指せるような美術館を作ってほしい』とおっしゃいました。『プロの絵を見るのが一番の勉強になるから』と」
これを受けて、1995年に増田町ふれあいプラザの一角をまんが美術館としてオープンしました。
原画の収蔵やアーカイブ化の取り組みも矢口先生からの提案だったといいます。
「オープン当初は原画を展示するだけでしたが、矢口先生は『原画の収蔵事業を行うのであれば、自分の原画を全て寄贈する』とおっしゃってくださったのです。そのご提案がきっかけとなり、まんが美術館では原画の収蔵やアーカイブ化を行い、作品を未来へとつなげていく取り組みを始めることになりました。マンガを収蔵いただける先生が増えたのも、矢口先生のつながりがあってこそです」
そして、このタイミングで、ふれあいプラザの建物全てをまんが美術館としてリニューアルし、2019年に再オープンを果たしました。
「ミライの漫画家発掘・マガジン制作プロジェクト」
このように文化的に非常に価値の高い施設があるという特徴を活かし、横手市ではマンガの教育活用も推進しています。
そのひとつが「ミライの漫画家発掘・マガジン制作プロジェクト」です。市内の学校に通う小学4年生から中学3年生を対象にマンガ作品を募集し、一冊のマガジンにして発行するというものです。このプロジェクトは2019年から始まり、2024年で5回目を迎えました。
- 応募作品は全て掲載され、その数は100点以上、600~700ページほどに及ぶ -
「マンガを一本描き上げることで、ストーリーを考え、絵を描き、演出や表現の仕方を工夫するなど、総合的な力を育むことができます。
何より、自分の作品が本になるというのは子どもたちにとって嬉しい経験になるはずです。こうした成功体験を積み重ねることで、自分に自信を持てたり、漫画家を目指すきっかけになればという思いでこの事業を行っています」
実際に作品を応募した子どもたちからは、「マンガを初めて描いてみた」「次はもっと上手に描きたい」など、さまざまなコメントが届いているそうです。
「2回、3回と回を重ねて応募してくれる子どもたちもたくさんいます。そうした子どもたちの作品は、年を追うごとに上手になっていきます。工夫しているところが見えたりすると、『この事業は子どもたちの表現力を育むための助けになっているのだな』と現場でも実感しています」
このマガジン制作プロジェクトにふるさと納税の寄附金が充当されています。
「マガジン作成にかかる事務費や印刷費などに活用しています。また、マガジンを作るにあたって、子どもたちにプロの漫画家の先生からアドバイスをいただくワークショップも開催しており、そうしたプロジェクト全体の予算として充当しております」
- ワークショップの様子 -
「横手駅東口再開発プロジェクト」で駅前に賑わいを
横手市ではほかにも、「横手駅東口再開発プロジェクト」に寄附金を充当しています。
横手市は、大きなデパートなどがある横手駅の東口が市内の中心部で、土日になると人手の多いエリアでした。しかし、郊外のバイパス沿いに大きなショッピングモールができ始めると、人の流れが変わり、駅前が寂れてきているという状況がありました。「横手駅東口再開発プロジェクト」は、そんな駅前を再開発し、賑わいを取り戻すためのプロジェクトです。
「その中心となるのは、横手市生涯学習館『Ao-na(あおーな)』です。ここに老朽化が進んだ図書館を移設するほか、イベントができる空間やティーンが利用できる設備、スポーツを楽しめるスペースなど、さまざまな機能を集約させます。
その中で、ふるさと納税の寄附金は無線LANの整備など、主に建物内の設備に充当しています。」
※Ao-naは、2024年9月にオープンしました。
寄附金を充当しているその他の取り組み
・楽しく学び郷土愛あふれるまちづくり
横手市では、すべての小・中学生が自分たちが暮らす郷土への関心と愛着を持ち、次の世代に伝える心を育むことを目的に、郷土学事業を進めています。
横手市の歴史や文化などを一冊にまとめた教材「よこてだいすき」を制作し、授業や講座で活用しているほか、南郷三ツ屋地区の百万遍念仏講や今泉祇園囃子など、伝統行事を映像としてアーカイブする事業も行っています。
・健康の駅推進事業
「健康の駅推進事業」にも寄附金を充当しています。「健康の駅」は、「健康をテーマとした交流拠点」をメインコンセプトに、各地域でさまざまな規模で展開しています。
「大規模駅(健康の駅よこてトレーニングセンター)」では、常駐する専門の運動指導スタッフが、さまざまな運動用具を使った効果的な運動方法をアドバイスします。「小規模駅」では、町内会館に保健師などの講師を派遣して体操教室を開催するなど、市民の健康づくりをサポートしています。
横手市増田まんが美術館のような文化的に価値の高い取り組みや、次世代の育成に力を入れている横手市。これらの取り組みを応援したいという方は、ぜひ横手市への寄附にご協力をお願いいたします。
自治体情報
秋田県の南部に位置する横手市は、日本有数の豪雪地帯。雪国ならではの過酷さはありながらも、ウィンタースポーツなどさまざまな冬の楽しみ方ができることが魅力です。中でも、毎年2月に行われる伝統行事「かまくら」が有名です。約450年の歴史があるといわれる祭事で、まつり期間中は、市内に60基ほどのかまくらが立ち並びます。
盆地特有の気候で、四季のメリハリがはっきりしている横手市は、野菜や米などの農産物にも恵まれています。特にフルーツの栽培が盛んで、桃やすいか、ぶどう、りんごなど、季節ごとのフルーツを年間を通して楽しむことができます。これらのフルーツはふるさと納税の返礼品としても人気です!
横手市のふるさと納税
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