
投稿日:2025年6月12日
地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる電子ポイントなど、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。
ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。
縁(ゆかり)のある自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などへの寄附金の使いみちを選ぶことで、自身の寄附金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。
ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄附だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄附金の使いみちを伺い、その想いを発信していきます。
今回取り上げるのは、日本一小さな航空会社「天草エアライン」の運航に支援を行っている熊本県天草市の取り組みです。
多彩な自然と人々が共存する歴史ある島
天草市は、九州本土から西へ広がる天草諸島の中心部に位置するまちです。
東シナ海・有明海・八代海の3つの海に囲まれた天草市は、外海の荒々しさと内海の穏やかさが共存し、多彩な魅力を放っています。
約200頭の野生のイルカが生息している通詞島沖合はイルカウォッチングの名所としても知られ、間近でイルカを見られると多くの観光客を魅了しています。
温暖な気候で海に囲まれている天草市は、さまざまな農畜産物に恵まれています。
特に、やわらかくジューシーな肉質と濃厚なうま味を誇る「天草大王」という地鶏は、水炊きや焼き鳥、鍋料理など、幅広い料理で堪能できると高く評価されています。
また、デコポンや黒毛和牛も天草市の名産品です。
天草市では豊かな海産物もそろい、アジやサバ、車海老などの新鮮な海鮮料理も楽しむことができます。
さらに、天草市は中世にキリスト教が広まり、キリスト教関連の遺跡や集落、教会などが残る地域です。天草四郎を中心とした「島原・天草一揆」が起こった地としても知られています。一揆の後、キリスト教禁教の時代は250年以上も続きますが、このような中でも、ひそかに信仰を続けた潜伏キリシタンの歴史が高く評価され、2018年、「天草の﨑津集落」が長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の構成資産の一つとして、世界文化遺産に登録されました。
天草市には、こうしたキリシタンの歴史・文化を伝える資料館として、天草キリシタン館、天草ロザリオ館、天草コレジヨ館、﨑津資料館みなと屋が設置されており、歴史ファンから注目を集めています。
このように、豊かな自然と歴史・文化が調和する天草市は、地域活性化や観光推進のため、天草エアラインの運営を支え、さらに多くの訪問者を引き寄せています。
天草の空を彩る親子イルカの小型飛行機
天草の空を飛行する、親子のイルカをモチーフにした可愛いらしい小型飛行機「みぞか号」。
この飛行機を運航する航空会社は「天草エアライン」で、福岡-天草(1日3往復)、熊本-天草(1日1往復)、熊本-大阪・伊丹(1日1往復)の3路線を結んでいます。
天草市は、地域の唯一の高速交通機関であるこの飛行機の安定した運航を支援しており、そのための資金にふるさと納税の寄附金を活用しています。
天草エアラインのみぞか号は、2000年3月に運航を開始しました。「みぞか」とは、熊本県の天草地方の方言で、「かわいい」を意味します。
開港当初は、小学生が考案したイルカのデザインがモチーフとなっていました。
しかし、長らく塗り替えが行われていなかったことから、天草市出身の放送作家、小山薫堂氏が企画・出演したテレビ番組でイルカのイラストを公募。269点の応募の中から、親子の3頭のイルカが描かれたデザインが採用されました。
日本初のATR42-600 型機を導入し、2016年1月に「Newみぞか号」の運航を開始。
「Newみぞか号には、飛行機に搭乗しない人たちも楽しめる工夫が施されています。機体の下部には『くまモン』がサンタクロースに扮した『モンタクロース』が描かれています。この『モンタクロース』は飛行機の搭乗前に機体を覗き込んだり、飛行中に空を見上げることでその姿を楽しむことができます」(天草市自治体担当者・以下同)
天草エアラインは島民の貴重な交通手段
天草エアラインは観光のみならず、島民の交通手段として重要な役割を担っています。
「天草市から県庁所在地である熊本市までは、自動車で2時間以上かかります。そのため、天草エアラインは島民にとっての生活の足であり、大都市への移動手段を担っています。また、医療従事者が天草市に通勤するための交通手段としても利用されています。天草エアラインは島民にとって、無くてはならない交通インフラなのです」
しかし、天草エアラインは、運航している飛行機が1機のみの「日本一小さな航空会社」であり、1機体制のため、ダイヤの乱れに対応しづらいといった課題も抱えています。このため、天草エアライン単独では安定した運営が難しく、熊本県や天草市、上天草市、苓北町が機材維持にかかるコストを支援しています。さらに、天草市ではこの事業の支援にふるさと納税の寄附金を充当しています。
天草エアラインは新機体にリニューアル後、安定した搭乗率を維持していましたが、新型コロナウイルスの影響で運休を余儀なくされ、3年間ほぼ運航を停止していました。コロナが収束し、徐々に客足は戻りつつありますが、2024年度の乗客数は6万数千人にとどまり、コロナ前の8割程度にとどまっています。
そのため、天草エアラインではコロナ前の水準である年間8万人強の乗客数を目標に掲げ、乗客を呼び込むための数々の施策を実施しています。
市民も観光客もお得に搭乗できるキャンペーンを展開
天草エアラインは、地域活性化と観光促進を目的にさまざまな施策を展開しています。
天草市民向けには、初回搭乗キャンペーンやグループ利用キャンペーン、帰省応援キャンペーン、介護キャンペーン、高校生割など多様な割引制度を用意。市民の暮らしに寄り添ったサービスを提供しています。
一方で、天草市民以外も利用できるキャンペーンも充実しています。例えば、クリスマスシーズンにはサンタクロースのコスチューム着用で割引を受けられる「サンタこす割」 、1日に全路線全便の連続搭乗にチャレンジできる 「乗るだけ運賃」など、ユニークな割引制度を展開し利用促進を図っています。
「天草市は人口減少が進んでおり、市民の利用が大幅に増えることは難しいですが、天草エアラインは日本全国にファンがいらっしゃるのが強みです。ぜひ、『みぞか号』を利用して天草に遊びに来ていだたきたいですね。また、インバウンドにも注力していきたいと考えています。今後はSNSなどを利用した広報活動にも力を入れ、天草の魅力を積極的に発信していきたいと考えています」
天草エアラインは、2025年3月に開港25周年を迎え、記念イベントでは家族連れやファンで大いににぎわいました。
天草市民はもちろん、全国のファンからも愛され続けている天草エアライン。ふるさと納税を通じて、天草市と天草エアラインのさらなる発展を応援してみませんか。
自治体情報
熊本県の南西部に位置するまち。人口は県下第3位、総面積は県下最大を誇ります。
天草は東シナ海、有明海、八代海の3つの海に囲まれ、大小120余の島々からなる諸島で、九州本土とは天草五橋と呼ばれる5つの橋で結ばれています。
温暖な気候を利用し、市の面積の約7割を占める山林から生み出される農産物、豊穣な3つの海で育まれた水産物など、農林水産資源にも恵まれています。
ふるさと納税の返礼品で特に人気の品は黒毛和牛、柑橘類、車海老など。
天草の豊かな自然環境で、草を中心とした飼料で飼育された天草黒牛はきめ細やかな霜降りと柔らかい肉質、あっさりとした脂、旨みの強い赤身 が特長です。年間出荷数が約400頭に限られている希少なブランド牛です。
天草黒牛はステーキや焼肉、しゃぶしゃぶなど、さまざまな料理でその美味しさを堪能できます。
豊かな芳香と甘くてジューシーな味わいが特徴の「デコポン」はJA熊本果実連が所有する登録商標であり、糖度が13度以上のものだけがその名を使用することができます。
ぷりぷりとした食感と甘みと旨みが濃厚な車海老は、刺身、天ぷら、焼き物、煮物など、あらゆる調理法で引き立つ風味が特徴です。
天草市のふるさと納税
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