地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる優待券など、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。
ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。
縁(ゆかり)のある地方自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などの寄付金の使いみちを選ぶことで、自身の寄付金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。
ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄付だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄付金の使いみちを伺い、その想いを発信していきます。
今回ご紹介するのは、ブランド米やゴルフ場関連の返礼品で人気の、茨城県稲敷市。
稲敷市は茨城県の南部、千葉県との県境に位置しており、霞ヶ浦や利根川、小野川などの豊かな水辺や、広大な水田、四季折々の植物など美しい自然の風景が魅力です。
5万人から3万7千人。人口減少が深刻に
稲敷市では、地域課題である人口減少対策に力を入れており、定住施策や子育て支援事業に多くの寄付金が充当されています。
「稲敷市は、2005年3月22日に江戸崎町、新利根町、桜川村、東町が合併して誕生しました。合併時には約5万人いた人口が、現在約3万7千人まで減ってしまっています。
茨城県のなかでも、特に稲敷市は人口の減り方が激しいといわれています。」(「」太字…稲敷市自治体の方の言葉)
これまで稲敷市では、市内でのマイホーム取得に助成金を交付(転入者は助成金加算)したり、地域おこし協力隊と共にお試し移住ができるゲストハウスを運営(現在はサービス休止中)したりと、さまざまな人口減少対策に取り組んできました。
今回は、現在稲敷市が力を入れている人口減少対策や、今後の展望についてお伺いしました。
給食費の完全無償化
稲敷市は2023年度、子育て支援施策の一環として、稲敷市内すべての小中学校の給食費の完全無償化をしました。
「2022年度、度重なる物価高騰により影響を受けやすい子育て世代への支援を目標とし、同年下半期に「企業版ふるさと納税」寄附金を活用し、小中学校の給食費を一部無償化としました。
2023年度もふるさと納税の寄附金を活用し、年間を通した給食費完全無償化を継続しています。」
※企業版ふるさと納税…国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除するもの。企業として地域振興などの社会貢献ができる
稲敷市では、2024年度以降も、引き続き子育て支援政策に寄付金を活用する予定です。(給食無償化の実施は未定)
子育て世代の定住促進。マイホーム取得支援助成制度
稲敷市では2016年4月から、定住施策として「稲敷市若年夫婦及び三世代同居マイホーム取得支援助成制度」を実施しています。
若い夫婦や子育て世帯の方の転入や定住促進だけでなく、子どもを安心して産み育てられる環境づくりや家族の絆づくりを推進するための取り組みで、市内でのマイホーム取得に助成金を交付する制度です。
未就学児のいる世帯や、市外からの転入世帯、市内で三世代同居となる世帯に対しては額が上乗せされ、最大140万円が交付されます。
「たとえば稲敷市で生まれ育った人が、一度市外に出た後、再度市内の実家に戻り三世代で同居する場合などにも申請できる制度です。
このマイホーム取得支援助成制度は、年間平均30〜40件の申請があり、出て行った人口を市内に戻すための効果的な取り組みになっていると感じます。」
「稲敷市若年夫婦及び三世代同居マイホーム 取得支援助成制度」について、詳しくはこちらをご覧ください。
観光で交流人口の増加を目指す
稲敷市では、他県からの交流人口を増やす取り組みとして、サイクリング事業に力を入れています。サイクリングロードの整備や、休憩施設である和田公園の植栽管理などにも、寄附金が活用されています。
つくば霞ヶ浦りんりんロード
「稲敷市は、霞ヶ浦沿線が『つくば霞ヶ浦りんりんロード』の一部に指定されているほか、利根川や新利根川など、豊かな水辺環境のなかで気持ち良くサイクリングをすることができます。
比較的平坦で交通量の少ない道が多いため、サイクリストの方はもちろん、初心者の方や女性、親子など幅広い層の方がサイクリングを楽しめる環境で、週末には多くの観光客が訪れます。」
桜づつみライトアップの様子
また、稲敷市では、まちを活気づけるイベントとして、サイクリングロードにもなっている新利根川の右岸堤防の桜づつみにてライトアップイベントを実施しました。
「ライトアップは数年前から市で検討していたイベントでしたが、コロナ禍のために実施を延期しており、今年(2023年)ついに実施できました。
今後も人が集まる場所を活用したまちづくりを行い、他県の方に稲敷市の魅力を知ってもらうきっかけになったら良いと思っています。」
稲敷市 チューリップ
今後は、子育て支援住宅を計画中
稲敷市は今後、子育て世帯が住む集合住宅を作りたいと考えており、寄附金も充当する予定です。
「現在、稲敷市では賃貸住宅の供給が少なく、子育て世帯に選ばれにくい状況があります。そこで、定住施策や子育て支援の一環として、子育て支援住宅を建てる計画をしており、基本構想を策定しました。
今後は、計画の実現に向けて事業を進めていきます。」
稲敷市では、ふるさと納税の寄附金を活用し、子育て世代の誘致や定住対策を積極的に実施しています。
稲敷市を応援したいと思った方は、ぜひ寄付に参加してみてはいかがでしょうか。
自治体情報
茨城県南部に位置する自然豊かな田園都市。
全国第2位の面積を誇る湖の霞ケ浦に面しており、利根川や新利根川、小野川など豊かな水辺環境がある。
気候は温暖で、冬は積雪もほとんどなく過ごしやすい。
茨城県稲敷市のふるさと納税
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