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寄付金の使いみち

アートで火をつけろ!豪雪地帯を燃え上がらせた「大地の芸術祭」

地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる優待券など、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。

ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。

縁(ゆかり)のある地方自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などの寄付金の使いみちを選ぶことで、自身の寄付金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。

ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄付だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄付金の使いみちを伺い、その想いを発信していきます。

今回は、コシヒカリや地域名産そばなどの返礼品で人気の、新潟県十日町市をご紹介します。

十日町市は新潟県南西部に位置し、2005年に1市3町1村が合併し、現在の十日町市が誕生しました。日本有数の豪雪地帯としても知られており、豊かな自然と共存しながら歴史・文化や産業を育んできた市です。

十日町市を大きく変えた「大地の芸術祭」

「人を受け入れること。チャレンジすること。自分たちのまちに誇りを持つこと。これが、『大地の芸術祭』が十日町市にもたらした影響です。」(以下「」太字…十日町市産業観光部文化観光課芸術祭企画係 髙橋剛係長の言葉)

髙橋さんが熱意を持って語る、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(以下、「大地の芸術祭」)。2022年は、大地の芸術祭支援を使いみちとして選ばれた寄付金が、市全体の寄付の約25パーセントを占めました。

マ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」(大地の芸術祭作品)Photo by Nakamura Osamu

大地の芸術祭とは、2000年から日本有数の豪雪地である越後妻有(十日町市、津南町)地域で開催されている、世界最大級の国際芸術祭です。3年に1度の開催で、2022年に8回展を迎えました。

2022年は145日間で約57万人が来場し、県内の波及効果は82億円ほど(『越後妻有 大地の芸術祭 2022 記録集』より)。

インバウンド効果も高く、2018年は、全体の13.3%が海外からの来場者でした(案内所調査より)。

地域芸術祭の先駆けとして、国内外から評価されている地域イベントです。
 

開催当時、地域芸術祭は前代未聞だった

内海昭子「たくさんの失われた窓のために」Photo by  T. Kuratani

「ふるさと納税は、自治体の魅力発信や、UIJターンのきっかけ作りでもありますが、本来は地元を離れた人がふるさとを想い、地域活性化に協力したいという気持ちで始まったものではないかと思います。大地の芸術祭は、地域の文化や魅力を後世に残していく事業で、ふるさと納税の目的とまさに合致していると考えています。」

十日町市が大地の芸術祭で目指すことは、地域の生活文化を後世に残すために、地域に人を呼び込むことだと言います。

過疎高齢化が進む地域を活性化し、次の世代に繋いでいきたいという想いのもと、2000年に第一回が開催されました。

「2000年当時、まだ地域活性化の方法として、芸術祭は行われていませんでした。そのころは、イベント開催や農産物の直売所設置などがトレンドだったのではないでしょうか。

(住人の)アートへの理解がそこまであるわけではないなかで『芸術祭』に着目したのは、芸術は、市民の生活や社会の在り方に深く関わるもので、その中から生まれてくるものだと考えているからです。自分たちの誇りや大切なものを見直すうえで、挑戦的で良い取り組みなのではないかと思いました。」

 

北川フラムさんとの出会いが転機に

ジミー・リャオ「Kiss & Goodbye」Photo by Ishizuka Gentaro

当時、地方での芸術祭開催の実例がほぼ無いなかで、旧十日町市を含む6自治体(※)の担当者は、新潟県出身のアートディレクター北川フラムさんに相談。その後、タッグを組むことになります。

※旧十日町市・川西町・中里村・松代町・松之山町と津南町。当時は合併前だった

「北川さんは、当時アートギャラリーの経営や、アートの街『ファーレ立川』などのアートディレクターとして知られていた方でした。以降、芸術祭の意義やアートがもつ力を多方面に発信し続け、基盤を築いた人物です。

地域芸術祭の相談をすると、とても前向きに『アートによる地域活性化』の施策を提案してくださいました。北川さんとの出会いが、大きな転機になったと思います。」

北川さんは「大地の芸術祭」準備段階から現在に至るまで、総合ディレクターとしてかかわり続けています。

公式サイトでは、北川フラムさんが大地の芸術祭の見どころを綴ったコラムを連載。メディアや書籍を通し、大地の芸術祭の魅力を発信し続けています。

 

アートが住人のアクションのきっかけに!

イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」Photo by  Nakamura Osamu

今でこそ100以上の集落が参加する、地域をあげての大イベントとなった大地の芸術祭。しかし第一回の参加は、28集落のみで、自ら手を挙げたのは2〜3集落のみでした。

「潮目が変わったのは、第3回、4回あたりだと感じています。隣集落での大地の芸術祭の反響を目の当たりにした集落が、次々と参加してくれるようになったんです。『大地の芸術祭は人で賑わい、住人も生き生きと新しいことに挑戦している』というイメージが浸透し始めたからだと思います。」

大地の芸術祭では、農家など地域で暮らす人びとが、アーティストと協働で作品を作っています。それはいわば、地域とアーティストの想いを結んだ集大成。地域へのアプローチから作品完成まで、2年以上を費やします。

「まず、私たち職員が地域の現状をヒアリングします。そこで聞いた地域課題や現状を北川ディレクターに伝え、地域に合ったアーティストをマッチングするという流れです。いかにアートを機に地域の人びとがアクションを起こせるか、という部分を大切にしています。」

さまざまな想いを乗せて長期間かけてできたアート作品が、地域の魅力を発信する大きな媒体となっています。大地の芸術祭をきっかけに、十日町市に移住してきた人びとも少なくないと言います。

 

閉鎖的だった集落に、外から人を受け入れる土壌ができた

草間彌生「花咲ける妻有」 Photo by Nakamura Osamu

「大地の芸術祭参加アーティストの助手で入った方が、十日町市に移住し、大地の芸術祭にエントリーして作品が展示されたケースもあります。海外で活動している芸術家の移住も生まれており、大地の芸術祭自体に関わりたくて移住してくる人が多い印象です。」

髙橋さんは、大地の芸術祭を通し、閉鎖的だった集落に外から人を受け入れる土壌ができたと語ります。

「協働作業をするなかで、アーティストや県外の方々と住人が打ち解けていく姿も多く見られました。外から来た人を受け入れる土壌が、大地の芸術祭開催からの20年間で培われたのは、本当に大きな変化だと感じます。」

十日町市では、地域おこし協力隊の定住率が70パーセント。同一市町村の定住率が40パーセントであることからも、十日町市に住むことの魅力を表している数字といえるでしょう。

 

本来の目的を忘れずに魂込めた地域活動を

クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン「最後の教室」 Photo by  T.Kuratani

2022年の大地の芸術祭では、フランスの現代アーティストのクリスチャン・ボルタンスキー(2021年逝去)や、日本の有名彫刻家名和晃平など、名だたるアーティストが参加。例年通り、もしくはそれ以上に大きな反響を呼びました。

それでも安心せず、本来の目的を忘れてはならないと髙橋さんは語ります。

「アート作品を置けば人が来てくれる、というのではなく、私たち住民が自ら汗を流して人を呼び込み、地域の魅力を発信しなくてはいけないなと。それが、本来の目的なので。

地域を守り、繋いでいくのは、今地域に生きる人びとにほかなりません。これからも、一人ひとりが作品づくりを通じて、魂をこめて地域おこし活動をしていく必要があると思っています。」

田島征三「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」Photo by Ishizuka Gentaro

来年(2024年)、越後妻有で9回目の大地の芸術祭が開催されます。

名  称  「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」

開催日程  2024年7月13日(土)~11月10日(日)

現在の寄付金は、来年開催予定の芸術祭関連費用と、アート作品の維持管理費に充てられる予定です。

大地の芸術祭に行けば、自分たちの寄付で維持されたアート作品を実際に見ることができるので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか!

 

自治体情報

新潟県南西部に位置し、2005年に1市3町1村が合併し誕生。

日本有数の豪雪地帯としても知られている。豊かな自然を享受し、ときに自然の厳しさと向き合い、共存する中で生まれた歴史や文化、産業は、現在まで脈々と受け継がれている。

 

新潟県十日町市のふるさと納税

新潟県十日町市の基礎情報や返礼品を、まとめてご覧いただくことができます。

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