
投稿日:2026年9月14日
地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる電子ポイントなど、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。
ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。
縁(ゆかり)のある地方自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などへの寄附金の使い道を選ぶことで、自身の寄附金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。
ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄附だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄附金の使い道を伺い、その想いを発信していきます。
今回ご紹介するのは、鹿島神宮とアントラーズが共存する歴史と新しい文化が混ざり合うまち、茨城県鹿嶋市です。
都会へのアクセスと田舎の良さを両立する、鹿嶋市の魅力
茨城県南東部に位置する鹿嶋市の大きな魅力の一つが、東京へのアクセスの良さです。
東京から高速バスでおよそ2時間という距離は、田舎ならではの暮らしやすさを残しながらも都会からの通勤を可能にしています。実際に取材に応じてくれた担当者自身も、東京から高速バスで鹿嶋市まで通勤しているといいます。
便利さと田舎らしい人柄の温かさが共存しているのが鹿嶋市の特徴です。市内の移動は基本的に車が必要な地域でもあります。
歴史と新しい文化が混ざり合っているのも鹿嶋市らしさ。古くから全国に名を知られる鹿島神宮は、年間100万人を超える参拝者が訪れる茨城県を代表する名所です。
一方で、Jリーグ屈指の強さを誇る鹿島アントラーズの本拠地でもあり、古くからの歴史と新しい文化がうまく混ざり合った街となっています。
食の面では、雪がほとんど降らない気候と海の近さが魅力を生んでいます。海産物では「鹿島たこ」や「鹿島灘はまぐり」が特に美味しく、東京で買うと高価なものが安く手に入ることも多いといいます。
知り合いの漁師から「採れすぎたから」と多めにもらえることもあるほど、海の幸が身近にある暮らしやすさがあります。

鹿島たこ
子育て支援にも力を入れています。地方創生がブームになる以前から「子育てしやすいまち」をキャッチフレーズに掲げ、待機児童ゼロを維持。子どもの数自体は多くはないものの、妊娠届を提出した段階から寄り添った支援を行うことで、保護者が孤立しない体制を整えています。
出生率は茨城県内でも上位に位置しており、市内には未就園児も利用できる「セイビ堂ドリームパーク(地域子育て支援センター)」という施設もあり、親子の交流の場としても親しまれています。
寄附金の使い道の事業について
夜間小児救急診療事業——患者数が減っても、休まず診療を続ける理由
鹿嶋市では、中学生以下を対象に、夜8時から11時までの3時間、小児の救急診療所を市が運営しています。平成16年1月に開設されて以来、20年以上にわたって続けられている事業です。
医療過疎地で、夜間にかかれる病院がなくなった
この事業が生まれた背景には、鹿嶋市を含むこの地域(鹿行地域)が抱える深刻な医療事情があります。
人口10万人当たり医師数は全国の医療圏と比較すると、茨城県自体が全国ワースト2位、その中でも鹿行保健医療圏は県内で一番少ない地域となっています。
特に小児科は市内に入院できる医療機関がなく、隣接する市の病院に頼っていました。しかし、その病院が入院対応を取りやめたことで、夜間に子どもを診てもらえる病院がなくなってしまったのです。
子どもは夜に急に発熱することも多く、夜間に頼れる病院がないというのは、子育てをする家庭にとって大きな不安要素でした。そこで鹿嶋市と地元医師会が協力して診療所を設置。以来20年以上、近隣市の協力を得ながら運営が続けられています。

夜間小児救急
寄附金が支えるのは、診療所の運営費
診療所の運営には、医師や看護師などの医療従事者の確保が不可欠です。鹿嶋市ではこの診療所の運営を鹿島医師会に委託しており、ふるさと納税の寄附金はその委託料に活用されています。
夜間3時間という限られた診療時間ながら、登録している医師の実数は20人を超えるといいます。市内・近隣の医療機関、さらには千葉県や東京都内に勤務する医師も含め、日中は別の場所で勤務しながら、交代で夜間診療を支えているのです。

患者数は減っても、子育て家庭の安心感はなくせない
この事業が直面している課題のひとつに、少子化による患者数の減少があります。
救急診療所を受診するお子さんの約7割を占めるのは未就学児ですが、鹿行地域の未就学児の人口は、開設時と比べて半数近く減少し、それと比例してピーク時には約2,000人いた患者数も約半分にまで減少しているのが実際です。
しかし、患者数が減っても、365日休まず診療を続けるための人件費は変わりません。診療報酬は患者数に応じて減っていく一方で、運営コストは変わらないため、行政の負担は増えていくというジレンマを抱えています。
それでも担当者は、
「小児の救急診療はどこの医療機関でも採算をとるのが難しく、特に当地域のような医療過疎地では対応できる医療機関の確保自体が難しい。子どもの数は少ないが、ここで子育てをしている方の安心感には変えられないため、ふるさと納税を活用してこういう環境が整えられるのはありがたい」
と話します。
夜間診療を利用した保護者からは、
「夜間に診てもらえて安心した」
「受診しなくても、そういう場所があると安心につながる」
という声が寄せられています。
移住を検討する子育て世代にとっても、夜間診療の有無は大きな判断材料になります。人口減少が続く中でも、子育てをする家庭が安心して暮らせる環境を維持するため、この事業はこれからも継続が必要な取組です。

英語教育の充実——子どもたちの世界を広げる 鹿嶋市の特色ある取組
鹿嶋市は平成18年に英語教育特区の認定を受け、全国に先駆けて小学校での外国語活動を推進してきた歴史があります。
子どもたちが英語に親しみ、自信を持って活用し、世界に親近感を持ちながら、将来国際的に活躍できる力を育むことを目指し、現在4つの取組を展開しています。
ネイティブスピーカーの「英語力向上スーパーバイザー」を独自配置
全国的にも珍しい取組として、平成30年に教育委員会内にオーストラリア出身のネイティブスピーカーを「英語力向上スーパーバイザー」として配置しました。小中学校独自のレッスンプランや教材の作成、全校への授業訪問指導、ALT研修、独自の英会話教室の運営など、幅広い役割を担っています。

ALT15名を直接雇用
令和7年度からは、外国語指導助手(ALT)を市が直接雇用する体制に変更し、現在合計15名のALTを鹿嶋市立小中学校に配置しています。
これにより児童生徒の実態に応じた継続的な指導が可能になり、授業だけでなく学校生活のさまざまな場面で英語や異文化に触れる機会を作り出しています。
また、ALTならではの自然な発音や表現を生かし、日本人教員とのティームティーチングを通して、実践的な英語力の育成を支えています。

「イングリッシュラウンジ」で、英語を使う力を育む
市独自の取組として「イングリッシュラウンジ」という講座も実施しています。学校の授業とは異なる環境で、ALTやアドバイザーと一緒に英会話を楽しみながら学ぶことができ、「英語を勉強するもの」から「使うもの」へと意識を変える機会になっています。参加した児童生徒が積極的に英語でコミュニケーションを図る姿も見られ、学習意欲の向上にもつながっています。
英検IBA(英語能力判定テスト)で、成長を「見える化」
学習の成果を客観的に把握し、子どもたちの学習意欲向上につなげるため、英検IBAというテストも実施しています。自分の英語力が目に見える形で確認できることにより、目標を持って学習に取り組む児童生徒が増え、継続的な学びを支える仕組みとして定着しています。

結果は数字にも表れている
令和7年度、英語検定3級以上に相当する力を持つ生徒の割合は56.9%で、令和6年度の55.4%から約1.5ポイント上昇しています。令和7年度は全国平均54.6%、令和6年度は52.4%であり、鹿嶋市はそれを上回る結果を出しています。
実際にイングリッシュラウンジに参加した児童生徒からは、
「英語を話すことが楽しくなった」
「英語への苦手意識がなくなった」
「将来は海外の人とも交流してみたい」
という声が上がっているといいます。
なお、鹿嶋市は英語教育以外にも、教育DXの取組として個別最適な学びと教員の負担軽減を目指し、教育用生成AIアプリを導入したり、国語の読解力を養うためのデジタル教材を取り入れるなど、未来を担う子どもたち一人一人の可能性を広げる教育環境づくりに力を入れています。

商工業振興事業——鹿島神宮周辺に、15の個性的な店が生まれた
鹿島神宮には年間100万人を超える参拝者が訪れますが、近年はスーパーや大型商業施設の進出により、かつて生活と商業の中心地だった神宮周辺のにぎわいが失われ、空き店舗が目立つようになっていました。
空き店舗に、補助金で新しい挑戦を
この状況を変えるため、鹿嶋市では令和2年度(2020年度)から「チャレンジショップ支援事業」を開始しました。
空き店舗を活用して新規出店や事業拡大をする個人・法人に補助金を出す制度です。これまでに居酒屋、甘味処、コワーキングスペース、スポーツバー、焼き芋専門店など、個性豊かな15店舗が新たにオープンしたり事業を拡大したりしてきました。

移住者・Uターン者が、まちづくりの担い手に
15店舗のうち2件は市外からの移住者、さらに別の2件はUターンで地元に戻った若者が開業したものです。出店者の数は限られていますが、地域に新しい風を吹き込む面白い動きが生まれていると担当者は語ります。
テレビなどのメディアでサウナ店や居酒屋などが紹介される機会も増え、神宮周辺で観光を楽しむ人が増え、通りはにぎわいを取り戻し始めています。

店舗が増えたことで、夏祭りでは昔行われていた歩行者天国イベントも復活し、多くの人でにぎわいました。
2026年9月には12年に一度の「御船祭(みふねまつり)」も控えており、メディア露出の増加とともに、参道を歩く人も増えてきているといいます。
鹿嶋市の未来をつくる、好循環
今後はこうした支援を継続しつつ、新たに創業や出店を検討する人への支援も充実させていく方針です。情報発信力を強化することで地域の魅力をより広く伝え、さらなるにぎわいの創出を目指しています。
「市が魅力的だと思ってもらえれば、さらに人が集まってくる好循環が生まれる。地域経済が活性化し、市民が鹿嶋市に誇りを持てる活気あるまちを作っていきたい」
と担当者は話します。子どもたちが伝統ある神宮周辺でにぎわいを楽しむ様子からも、この街の文化が次の世代へつながっていく様子が見えてきます。
歴史あるものと新しいものが共存する鹿島神宮周辺は、まさに鹿嶋市の新しい未来を象徴する場所になろうとしています。

鹿嶋市の地域づくりを支える、ふるさと納税の力
鹿嶋市では、20年以上続く夜間小児救急診療から、全国的にも珍しい英語教育、神宮周辺のにぎわい再生まで、このまちならではの取組が今日も続けられています。こうした取組を力強く支えているのが、ふるさと納税の寄附金です。
返礼品をお楽しみいただいたそのあとに、ぜひ一度、鹿嶋市の風景を現地で感じてみてください。あなたの寄附がどのようにまちの暮らしに生かされているのか。
その答えを、きっと目で見て、心で感じていただけるはずです。
返礼品の紹介
釣り船乗船券
鹿嶋市が今最も力を入れている体験型の返礼品が「釣り船乗船券」です。鹿島灘は太平洋に面した波の荒い漁場で、朝早く船で出港し釣りを楽しんで戻ってくるという、現地でしか味わえない体験ができます。需要が供給を上回るほど人気の高い返礼品で、ふるさと納税ならではの特別な体験を味わうことができます。

鹿島たこ
鹿島灘で水揚げされる「鹿島たこ」は、高級寿司店でも使われるほど名高いブランドタコです。波の荒い鹿島灘の海域でツボ漁によって育まれたタコは、東京のスーパーで売られているものよりも歯応えがしっかりとしているのが特徴です。漁師から直接「取れすぎたから」と分けてもらえることもあるほど、鹿嶋市民の生活に根付いた特産品です。

鹿島灘はまぐり
鹿嶋市の海でとれる鹿島灘はまぐりも、地元で愛される特産品です。海が近く新鮮な状態で水揚げされるため、東京で購入するよりも安く手に入ることも多いといいます。鹿嶋市の豊かな海の恵みを存分に味わえる一品です。

自治体情報
茨城県南東部、太平洋に面した鹿嶋市は、東京へのアクセスの良さと田舎ならではの暮らしやすさを両立するまちです。高速バスで東京から約1時間20〜30分という距離にありながら、海の幸に恵まれた豊かな自然環境が広がっています。
市の中心には、古くから全国に名を知られる鹿島神宮があり、年間100万人を超える参拝者が訪れます。一方で、Jリーグ屈指の強さを誇る鹿島アントラーズの本拠地でもあり、古い歴史と新しい文化が混ざり合う独特の魅力を持っています。
海産物に恵まれた気候の中で育つ「鹿島たこ」や「鹿島灘はまぐり」は地元の名産品として知られ、雪がほとんど降らない温暖な気候も暮らしやすさの一因となっています。子育て支援にも力を入れており、待機児童ゼロを維持しながら、妊娠期から寄り添う手厚い支援体制を整えています。
医療体制の面では、20年以上にわたって夜間小児救急診療所を運営し、医療過疎地という厳しい環境の中でも子育て家庭の安心を支え続けています。教育の面では全国的にも珍しいネイティブスピーカーの配置やALTの直接雇用など、独自の英語教育に力を入れており、子どもたちの可能性を広げる取組が進んでいます。
鹿島神宮周辺では、チャレンジショップ支援事業によって個性豊かな店舗が次々と生まれ、移住者やUターン者が新たな挑戦の場として選ぶまちにもなっています。歴史と新しい文化、自然の恵みと未来への投資が共存する鹿嶋市は、これからも次の世代へその豊かさをつないでいくまちです。
鹿嶋市のふるさと納税
茨城県鹿嶋市の基礎情報や返礼品をまとめてご覧いただくことができます。
