投稿日:2026年3月11日
地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる電子ポイントなど、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。
ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。
縁(ゆかり)のある地方自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などへの寄附金の使い道を選ぶことで、自身の寄附金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。
ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄附だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄附金の使い道を伺い、その想いを発信していきます。
今回ご紹介するのは、福岡県大木町です。筑後平野のほぼ中央に位置するこの町は、「循環」をキーワードに環境先進のまちづくりを進めてきました。寄附金は、産業支援や子育て支援、そして町を元気にするイベント開催など、多方面に活用されています。返礼品の背景にある取り組みとあわせて、その全体像をお届けします。
地域の魅力――“循環”を町ぐるみで実践する環境先進のまち
大木町の大きな特徴は、「循環型のまちづくり」にあります。
象徴的なのが、29種類にも及ぶごみの分別。初めて町を訪れた人は、その細かさに驚くといいます。しかし、この徹底した分別こそが、町の循環型社会を支える基盤です。
生ごみは回収され、液肥へと生まれ変わります。その液肥が町内の畑に還元され、農作物が育つ。収穫された作物は食卓に並び、再び生ごみとなり、また液肥へ——。こうした資源循環が町内で完結する仕組みが整えられています。
さらに、生ごみなどを活用してメタンガスを生成し、エネルギーとして利用する取組も進められています。環境への配慮が、暮らしの中に自然に溶け込んでいるのです。
液肥を活用した農業は、化学肥料に頼らないお米づくりにもつながっています。また、菜の花を育てて菜種油を生産するなど、循環の仕組みが特産品づくりにも波及しています。こうした先進的な取り組みを学ぼうと、全国から視察が訪れることも少なくありません。
一方で、大木町は暮らしやすさも備えています。福岡市・天神からは西鉄電車で約1時間弱。近隣には久留米市や柳川市があり、車があれば大型商業施設にもアクセスしやすい環境です。自然に囲まれながらも、都市圏と緩やかにつながる立地は、子育て世代にとっても魅力的でしょう。
子育て支援も充実しています。中学生までの医療費は町が全額負担し、自己負担は実質無償。さらに、給食費についても来年度から全員無償化が予定されています。経済的な負担を軽減しながら、安心して子どもを育てられる環境が整えられています。
環境と暮らし。その両輪が、町の魅力を支えています。
くるっち
寄附金の使い道――産業と暮らし、そしてにぎわいへ
大木町では、寄附金を町の未来を支える施策に活用しています。ここでは、代表的な3つの事業をご紹介します。
(1)イベント開催助成金――堀DAYミュージックが生むにぎわい
大木町の寄附金活用の中で、最も町の個性が色濃く表れているのが「イベント開催助成金」です。その代表例が、石丸山公園で開催される音楽イベント「堀DAYミュージック」。町のにぎわいを生み出すこの取組は、今や大木町を象徴する事業の一つとなっています。
堀DAYミュージックが始まったきっかけは、新型コロナウイルスの影響でした。外出やイベントが制限され、多くの人が楽しみを奪われた時期に、「町を元気づけたい」「もう一度、人が集う場をつくりたい」という思いからスタートしたのです。寄附金は、その想いをかたちにするための重要な財源となりました。
今年で4回目を迎えるこのイベントは、回を重ねるごとに規模を拡大。昨年は5,339人が来場し、11組のアーティストが出演しました。プロのミュージシャンに加え、町内唯一の中学校である大木中学校の吹奏楽部がオープニングを飾るなど、地域の子どもたちも主役の一人として参加しています。町内外の人々が一体となる空間が、石丸山公園に広がります。
会場には音楽ステージだけでなく、地元飲食店による出店ブースが並び、特産品やスイーツ、軽食などを楽しむことができます。子ども向けワークショップの実施や、公園内の資料館での展示企画なども行われ、家族連れでも一日中過ごせるイベントとなっています。町が取り組むカブトムシ育成事業の標本展示が行われるなど、大木町らしさを体感できる演出も随所に見られます。
寄附金は、アーティストの出演料や音響・照明設備、会場設営などの運営費に充てられています。つまり、寄附は単にイベントを開催するための資金ではなく、「人が集まり、笑顔が生まれる場」を支える力となっているのです。
人口約1万3,000人の大木町にとって、5,000人を超える来場者が訪れるイベントは、町の活性化に大きなインパクトをもたらします。町内の経済効果はもちろんのこと、町外からの来訪者に大木町を知ってもらう機会にもなり、将来的な関係人口や移住・定住のきっかけづくりにもつながっています。
「まずは大木町を知ってもらうことから」。関係者の言葉には、そんな思いがにじみ出ています。環境施策や子育て支援といった“支える”取組に加え、人が集い、楽しみ、町に愛着を持つきっかけを生み出すこのイベントは、大木町の未来への投資そのものです。
堀DAYミュージックは、単なる音楽フェスではなく、町民の誇りと、外から訪れる人の新しい発見が交わる場所。寄附金が生み出す“にぎわい”というかたちの成果が、ここにはあります。

堀DAYミュージック
(2)新規返礼品開発改良支援補助金――産地と事業者を守る投資
2つ目が、「新規返礼品開発改良支援補助金」です。これは、返礼品を提供している町内事業者の課題解決や新たな挑戦を後押しする制度で、寄附金を財源として令和6年度から創設されました。単に返礼品の数を増やすことが目的ではなく、事業者が持続的に生産・販売を続けられる環境を整えることに主眼が置かれています。
象徴的なのが、大木町の主力返礼品であるいちごです。近年は温暖化や異常気象の影響により、収量が落ち込む状況が続いており、年によっては前年比7〜8割程度にとどまることもあるといいます。高温や湿度の変化による病害の発生、栽培期間の短縮など、生産現場ではさまざまな課題に直面しています。
こうした状況を受け、町では病気対策のための設備導入や栽培環境の改善にかかる費用の一部を補助。例えば、従来の土耕栽培から高設栽培への転換を支援しています。地面から離れた高設栽培にすることで湿気の影響を受けにくくなり、作業効率の向上や収量の安定、品質向上が期待できます。
また、苗の管理に必要な冷凍設備の整備も支援対象の一つです。以前は共同の大きな冷凍室を利用していたことで、病気の感染が広がるケースもあったといいます。
そこで、各農家が個別に設備を整えられるよう一部補助を行い、リスク分散と安定生産を図っています。こうしたきめ細かな対応が、産地全体の底上げにつながっています。
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冷蔵ユニット
支援の対象は農業に限りません。町内の飲食店が新たに返礼品を開発する際に必要となる加工機械や設備の導入費用についても補助を実施。これにより、店舗で提供している商品を全国に届ける仕組みが整い、新たな販路開拓や売上向上にもつながっています。
この制度は、いわば「返礼品の裏側」を支える取り組みです。
寄附金は目に見える商品として届くだけでなく、その背景にある生産基盤や事業者の挑戦を支える力となっています。産地と事業者の未来を守る投資として、この補助金は重要な役割を果たしているのです。
稲刈り風景
(3)子ども医療費助成――安心して子育てできる町へ
3つ目は「子ども医療費助成」です。大木町では、中学生以下の子どもを対象に、入院・通院にかかる医療費の自己負担分を町が全額負担しています。子どもが体調を崩したとき、「費用が心配で受診をためらう」ということがないように――。そんな思いから続けられてきた町独自の取組です。
この制度の目的は、子どもの健康を守ることはもちろん、保護者の経済的負担を軽減することにもあります。特に子育て世帯にとって、医療費は予測しづらい支出の一つです。急な発熱やけが、通院の長期化などが重なると、家計への影響は小さくありません。医療費の無償化は、そうした不安を和らげ、安心して子育てできる環境づくりにつながっています。
町内には約11か所の医療機関があり、日常的な診療や専門的な治療を身近な場所で受けられる体制が整っています。医療費の助成と地域医療の環境が両輪となることで、「困ったときにすぐ受診できる」安心感が支えられているのです。
さらに大木町では、給食費の無償化も進められており、来年度からは全児童・生徒を対象に実施される予定です。医療と食の両面から子どもを支える施策が広がっています。
寄附金は、こうした子育て支援施策の重要な財源の一つとなっています。目に見える返礼品の向こう側で、子どもたちの健やかな成長を支える仕組みが整えられている――。日々の暮らしの安心の中に、確かに寄附の力が息づいています。
返礼品の先に広がる、大木町の未来
こうした取組の積み重ねの中から、大木町の返礼品は生まれています。
返礼品を選ぶということは、単に品物を選ぶことではなく、その土地が大切にしている価値や挑戦を選ぶことでもあります。大木町では、寄附金が産業の基盤を支え、子どもたちの健やかな成長を後押しし、音楽やイベントを通じて町ににぎわいを生み出しています。
手元に届く一品の向こう側には、循環を軸にしたまちづくりと、未来へ続く挑戦の物語があります。
その背景に思いを巡らせることもまた、ふるさと納税の奥深い魅力のひとつと言えるでしょう。

3.返礼品の紹介――産地の誇りをそのままに
1.あまおう ― 産地直送で届く、完熟の甘み
大木町を代表する返礼品の一つが、福岡県が誇るブランドいちご「あまおう」です。
「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字を取って名付けられたあまおうは、濃い赤色と艶やかな見た目、そして口いっぱいに広がる甘みが特長です。
福岡県の共通返礼品として複数の自治体で取り扱われていますが、大木町はその一大産地。だからこそ可能なのが、産地直送でのスピーディーな発送です。
いちごは、収穫後に甘みが増す“追熟”をしない果物。時間が経てば色づきは進んでも、糖度は上がりません。そのため、収穫から発送までの鮮度管理が品質を大きく左右します。大木町では、生産者から直接届ける体制を整えることで、完熟に近い状態のあまおうを寄附者のもとへ送り出しています。
また、近年は温暖化や異常気象の影響により収量の確保が難しくなる中、寄附金を活用して栽培設備の改良や病害対策を支援。安定した品質を維持するための取り組みが、あまおうの一粒一粒を支えています。
甘さだけでなく、その背景にある産地の努力まで味わえる一品です。
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2.お米 ― 循環型農業が育む、筑紫平野の恵み
もう一つの主力返礼品が、筑紫平野で育てられるお米です。
大木町は広大な平野部を有し、古くから米づくりが盛んな地域。肥沃な土壌と豊かな水に恵まれ、安定した品質のお米を生産してきました。
町の特長は、環境循環型の農業に取り組んでいること。生ごみからつくられた液肥を活用し、化学肥料に頼らない農法で育てられるお米もあります。資源を地域内で循環させる仕組みが、食の安全や持続可能な農業につながっているのです。
近年の米不足をきっかけに、大木町のお米は多くの寄附者から選ばれました。「初めて食べたが美味しかった」「粒立ちが良く甘みがある」といった声も寄せられ、リピーターも増えています。
日々の食卓に欠かせないお米だからこそ、その背景にある環境への配慮や生産者の姿勢も伝わります。
一膳のごはんの向こうに、循環のまち・大木町の取組が息づいています。
自治体情報
福岡県南部、筑後平野のほぼ中央に位置する大木町(おおきまち)は、豊かな田園風景が広がる人口約1万3,000人の町です。町域はほぼ平坦で、古くから稲作を中心とした農業が盛んに営まれてきました。肥沃な土壌と豊かな水に恵まれ、いちご「あまおう」やお米など、質の高い農産物の産地として知られています。
大木町の最大の特徴は、「循環のまちづくり」に取り組んでいることです。29種類に及ぶごみの分別を徹底し、生ごみを液肥へと再資源化。その液肥を農地に還元することで、地域内で資源が循環する仕組みを構築しています。さらに、メタンガスの生成・活用など、環境に配慮した先進的な取り組みも進められており、全国から視察が訪れる自治体としても注目を集めています。
交通面では、西鉄電車を利用すれば福岡市(天神)まで約1時間弱と、都市圏へのアクセスも良好。近隣の久留米市や柳川市へも車で移動しやすく、自然に囲まれながらも利便性を兼ね備えた立地です。
子育て支援にも力を入れており、中学生までの医療費無償化や給食費の無償化など、子育て世帯を支える制度が整備されています。大規模な自治体ではないからこそ、町民一人ひとりの暮らしに寄り添う政策が行き届いている点も魅力の一つです。
環境、農業、子育て、そして地域のにぎわいづくり。
大木町は、小さな町ならではの結びつきを強みに、持続可能な未来を見据えたまちづくりを進めています。
福岡県大木町のふるさと納税
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