投稿日:2025年7月4日
地域が誇る銘菓やブランド牛、旬の農産物や水産物、店舗や旅行で便利に使用できる電子ポイントなど、ふるさと納税には、バラエティに富んだ返礼品が揃っています。
しかし、ふるさと納税の楽しみは、返礼品を選び、受け取ることだけではありません。
縁(ゆかり)のある自治体や、お世話になった思い入れのある自治体などへの寄附金の使いみちを選ぶことで、自身の寄附金が町や村に与える影響を知ることも一つの醍醐味となるでしょう。
ふるさと納税バイブルでは、返礼品が目的の寄附だけではない選択肢を知ってもらうために、全国の自治体に寄附金の使いみちを伺い、その想いを発信していきます。
今回取り上げるのは、ふるさと納税の寄附者が寄附金の交付団体を選べる「ふるさと応援交付金」制度を取り入れ、市民の活動を支援している愛知県高浜市の取組みです。
「大家族」のように温かく、人と人がつながるまち
高浜市は、愛知県のほぼ中央に位置する、衣浦湾に面した海岸線が美しいまちです。温暖な気候と穏やかな街並みが特徴で、都会の喧騒から少し離れた落ち着いた雰囲気が魅力です 。
また、電車や高速道路、空港へのアクセスも良好で、名古屋市や中部国際空港までは約40分で移動できる利便性も兼ね備えています。
江戸時代から日本三大瓦のひとつ「三州瓦」の一大生産地として栄えてきた高浜市は、今もなお人情味あふれる職人の気質が息づいています。その温かい人柄は活発な地域コミュニティにも表れており、季節ごとの祭りやイベントが人々のつながりを深めています。
また、未来を担う子どもたちのために、小学校の校舎の改修や空調設備の整備を進めるなど、子育て支援にも力を入れ、安心して学べる環境を整えています。
「人と想いが つなぐつながる しあわせなまち 大家族たかはま」
このスローガンのもと、高浜市は市民一人ひとりのつながりを大切にし、「大家族」のような温かいコミュニティを築くことを目指しています。その実現のため、行政だけでなく、地域の団体や事業者、学校なども一体となって協力し、市民が主体的にまちづくりに参加できる取組みが広がっています。
寄附金の交付団体を選べる「ふるさと応援交付金」
高浜市では、活発な市民活動を支援するため、ふるさと納税の寄附者が支援先を選べる「ふるさと応援交付金」制度を導入しています。
この制度は、地域の課題解決や公益につながる市民活動を市が具体的に掲示し、その取組みに共感した方が寄附を通じて活動を直接応援できる仕組みです。
これにより、活動を主導する市民や団体、そして応援する寄附者の双方が、より主体的に地域づくりへ参画するきっかけとなり、地域の魅力向上にもつながっています。
「交付金の対象となるのは、『 まちづくり協議会』や『まちづくりパートナー』など、地域の発展に貢献する団体です。高浜市には、各小学校区に『まちづくり協議会』が設置されています。高浜南部、吉浜、翼、高取、高浜の5つのまちづくり協議会が地域の課題解決や活性化を目的に、それぞれの地域に根ざした取組みを行っています」 (高浜市自治体関係者・以下同)
高浜市はふるさと応援交付金制度を活用し、以下のような取組みを支援しています。
1. 桜の名所「大山緑地」の環境保全―高浜まちづくり協議会
高浜市には、衣浦湾や市街地を一望できる高台の公園「大山緑地」があります。
園内は「千本桜」と呼ばれる桜の名所で、春には見事な花が咲き誇ります。また、秋には「高浜おまんと祭り」が開催されるなど、年間を通して多くの人が訪れる人気の観光スポットです。
この美しい大山緑地を守るため、高浜まちづくり協議会は、定期的なパトロールや清掃活動、桜の植樹などを行っています。こうした活動を通じて、地域住民や観光客がいつでも気持ちよく過ごせる、美しいまちづくりに貢献しています。
2. 吉浜細工人形の継承―吉浜まちづくり協議会
吉浜地区には、360年以上の歴史を持つ伝統工芸「吉浜細工人形」が古くから伝わっています。
その特徴は、竹や巻藁、新聞紙で胴体を作り、貝殻や木の実などで飾りつける繊細な細工にあり、1964年には愛知県の無形文化財にも指定されました。
この貴重な伝統文化を未来へ継承するため、地元の吉浜まちづくり協議会が中心となり、次世代への普及活動を推進しています。
吉浜地区には「人形小路」と呼ばれるエリアがあり、細工人形を展示する施設や工房が点在しています。等身大の人形を用いた歌舞伎の大絵巻が上演され、迫力ある舞台が観客を魅了しています。
また、「雛めぐり」や「花まつり」、「菊まつり」など、季節ごとの行事を通じて、細工人形の魅力を広く発信しています。
さらに、子どもたちが伝統文化に親しめるイベントも推進。次世代への文化継承にも力を入れています。
3. 映画『タカハマ物語』シリーズ制作―高浜(まち)づくり市民会議
高浜市を舞台にした、市民が参加して制作される映画「タカハマ物語」。この映画の制作を手がけるのは、「高浜(まち)づくり市民会議」という団体です。
「『タカハマ物語』は、高浜市の魅力を伝える市民映画で、市民の皆さまの熱意が詰まった作品です。この映画は、子どもたちや若者の成長支援と地域活性化を目的に、2012年に制作が始まりました。これまでに、3本のシリーズ作品が公開されています」
子どもたちは、映画への出演や制作に携わることで、地域への愛着を育み、職業への理解を深めることができています。
また「タカハマ物語」は、高浜市の文化や人々の温かさを丁寧に描き出し、地域の魅力を伝えるツールとしても大きな役割を果たしています。さらに、市民が主体となって制作に関わることで、地域に対する誇りや一体感が生まれる取組みとしても注目されています。
「高浜(まち)づくり市民会議」では、現在シリーズ4作目となる「シン・タカハマ物語 ~Story of Takahama~」を制作中です。映画制作に次世代への想いを込めながら、新たな物語が紡がれています。
このように高浜市では、地域の活性化に向けて、多くの市民団体がさまざまな活動を展開しています。そうした取組みを支えるのが、ふるさと応援交付金です。交付金は、市民によるまちづくりの活動に力を与える、大切な資源として活用されています。
あたたかい人の輪が広がり、「暮らしやすく、楽しいまち」づくりを目指している高浜市を、ふるさと納税を通じて応援してみてはいかがでしょうか。
ふるさと納税返礼品
高浜市には、魅力的なふるさと納税返礼品が揃っています。その一部をご紹介します。
1.うなぎ
高浜市は、古くからうなぎの養殖が行われている地域です。特産品である「新仔(しんこ)」と呼ばれる若いうなぎは、脂の乗りが良く、身が柔らかいのが特徴です。直火でじっくり焼き上げるため、外はカリッと、中はふっくらとした仕上がりを楽しめます。
2.とりめし
「とりめし」は、高浜市の郷土料理です。甘辛い醤油ダレで煮た鶏肉を、炊き立ての白米と混ぜ合わせたとりめしは、シンプルながらも深い味わいです。薄くスライスした鶏肉にはしっかりと味がしみこんでおり、ほど良い歯ごたえを楽しめます。また、お茶漬けとしても楽しむことができ、さらにとりめしの魅力を味わうことができます。
3.宅配ボックス
不在時に荷物を受け取れる宅配ボックスは、共働き世帯や一人暮らしの人にとって、とても便利なアイテム。国内の自社工場ですべて生産を手がけている、耐久性に優れ高品質な製品です。
ふるさと納税の返礼品で魅力ある食や製品を楽しみながら、高浜市を応援してみてはいかがでしょうか。
自治体情報
高浜市は、愛知県の中央、三河平野の南西部に位置し、西は知多湾(衣浦湾)に面しています。面積は13.11㎢、人口はおよそ4万9000人とコンパクトなまちです。
高浜市は約300年前から瓦の生産が盛んで、石州瓦、淡路瓦と並ぶ日本三大瓦の一つである「三州瓦」の主要な生産地として知られています 。2017年には三州鬼瓦工芸品は、伝統的工芸品として指定されました。現在も伝統を受け継ぎながら、多くの瓦作品が生み出されています。
市内には、瓦をテーマとする全国でも珍しい美術館「高浜市やきものの里かわら美術館・図書館」があり、瓦の歴史や文化に触れることができます。 また、高浜市の街中には瓦でできたオブジェが点在しており、「鬼のみち」などの散策路は人気の観光スポットとなっています。
高浜市のふるさと納税
愛知県高浜市の基礎情報や返礼品をまとめてご覧いただくことができます。