注文殺到！自宅で堪能するさくらんぼ

投稿日：2020年11月4日

コロナショックの影響を大きく受けた産業の1つである、観光業界。移動自粛や渡航制限のあおりを受け、観光地からはにぎわいが消えました。近年の訪日外国人観光客（インバウンド）拡大は地域を活性化させ、幅広い産業に経済効果をもたらしていただけに、その喪失は大きな痛手です。特に農作物や魚介類などの生ものを扱う生産者にとって、出荷できない商品は廃棄するしかありません。このピンチを乗り切ろうとする取り組みが山形県上山市の観光果樹園協議会で行われました。

初夏の訪れとともに真っ赤な実をつける“さくらんぼ”。山形県上山市は、さくらんぼの収穫時期になると、観光農園のさくらんぼ狩りを目当てにした観光客でにぎわいます。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、さくらんぼ狩りが実施できるかは不透明。さくらんぼ狩りが実施できなければ、行き場を失ったさくらんぼは廃棄するしかない。先が見えない不安の中でも、これまで育ててきたさくらんぼの手入れを進めるしかありません。

上山市のさくらんぼを毎年楽しみにしている人たちにどうやったら届けられるかーー。そう考えた時に浮かんだのが、「ふるさと納税」でした。協議会の思いに共感した関係機関の協力を得ながら、さくらんぼ狩りを予定していた園地のさくらんぼを、ふるさと納税のお礼の品として登録。未知の挑戦として不安の中取り組んだふるさと納税は、わずか10日あまりで当初予定していた上限数（1,000セット）に到達するという驚きの結果でした。

今年は自宅で楽しみ、コロナが収束した時には上山市で味わってもらいたい。そんな願いを込めて始めた取り組みは、多くの共感を生み、協議会にとっても大きな励みとなりました。

自治体情報

上山市の代名詞は開湯560年余りの歴史を誇る「かみのやま温泉」。古くは上山城の城下町、羽州街道の宿場町として栄えたこの地は今も城下町の風情が息づく温泉地です。また、蔵王連峰など、四方を山に囲まれたこの地は、さくらんぼやラフランスといった果樹以外にも、豊かな土壌と長い日照時間、昼夜の寒暖差に恵まれた日本有数のワイン用ブドウの産地でもあります。